澤村選手の長胸神経麻痺について 鍼灸治療のリスク 投球障害

澤村選手のトレーナーのミスによる長胸神経麻痺報道

選手をサポートし競技能力向上のお手伝いをする我々の立場からすると

非常に残念な報道が出てしまいました。

このニュースについての開業鍼灸師として意見を述べさしていただきます。

①通常の針治療で神経損傷の起こる確率は極めて低いです。

我々の使う日本の鍼灸針は注射針と違い通常0.16〜0.20mmほどの太さで

神経損傷は起こりえないとされています。

参考までに太い髪の毛は0.15mm位らしいです。

中国式の針はやや太いものを使うことが多いです。それでも0.3mm程です。

 

②特にこの澤村選手の麻痺を起こした長胸神経ですが‥

この場所に針をすることは、あまり一般的ではありません。
なぜなら長胸神経は

前鋸筋という肩甲骨から肋骨に付着する筋肉の上を通っており

肋骨のすぐ上にあります。
我々鍼灸師が1番避けたい医療事故は、

気胸という肺に穴が開く事故です。

なので肋骨付近に針を刺す時に細心の注意を払い

かなり丁寧な刺入方法をとります

細い針でゆっくりとした刺し方をすると、

通常針は硬い神経組織を避けて進みます。

 

③肩関節疾患は肩甲骨の安定性が重要なポイントとなります。

安定性を上げるためには

通常太い針で強刺激より

弱い刺激の治療+トレーニングの処方をするはずです。

 

④長胸神経麻痺は鑑別診断が比較的簡単な疾患であり、

肩甲骨が浮き上がる翼状肩甲という状態が見られます。

なので通常勉強している鍼灸師であれば早期に整形外科医に紹介します。

 

長胸神経麻痺は外力で簡単に起こるうる疾患ではありますが、個人的には針より強い力でのマッサージなどのリスクの方が高いと思います。

また投球フォームやバックパックの長時間利用、腕枕などで起こり得る疾患です!

以上のことから
どうも針にこじつけている感じがしてこの報道には疑問を感じますが‥

どうなんでしょう?
いずれにしても澤村選手には頑張っていただきたいです!

前鋸筋 長胸神経

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